お仁の一期一筆

第六十一筆「熱中症予防強化月間」

文月。七月は七夕行事に詩歌や書物を奉じる風習から文月になったという説がある。また稲の〈穂含月〉〈含月〉から転じたという説もある。ただ、本格的な暑さが始まる小暑や暑さが最も厳しくなる大暑も文月。今月は熱中症予防強化月間である。万全を期したい。

かつて、〈日射病〉などと呼ばれていた熱中症は、暑さによって生じる熱失神、熱性痙攣、熱疲労などの症状の総称。めまい、立ちくらみ、塩分欠乏による筋肉痛などは、まだ症状が軽い方で、頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感に加え、痙攣や手足の運動障害は重症だという。

総務省消防庁によると、昨年五月から九月までの全国における熱中症救急搬送人員数は五万四一二人のぼった。熱中症症状が疑われた場合は涼しい場所に移動したり、脇の下や太ももの付け根などに保冷剤や冷えたペットボトルをタオルにくるんで当て、スポーツドリンクなどの水分を摂るのがよいそうだ。

最適な予防は小まめな水分補給。一日当たり約一・二㍑が目安という。ならばアルコールでの水分補給をチラッと考えた人もいるだろうが、尿の量が増えるのでダメという。残念でした。

またこの季節、国内に約一〇〇種類生息していると言われる蚊も強敵。心掛けたいのは、卵を産む〝たまり水〟をなくすことである。古タイヤやトレー、バケツ、植木鉢の受け皿など水のたまりやすいものは片付け、お互い蚊の発生源を絶っていきたいと思う。

<人には水、蚊には乾き>。この夏を乗り越えるキャッチコピー。いかがだろうか。

第六十二筆「蟻の穴現象」

〈千里の長大な堤防も蟻の穴から漏水し始め、百尋の広大な邸宅も煙突の隙間から洩れる火の粉で焼けるものである〉。中国・前漢時代に淮南国の王に任じられた劉安が編纂した『淮南子』(紀元前一三九年)の一節だ。些細なことから大事が起こるという教訓である。

小さなほころびが大事に至る例は、枚挙に遑がない。直近では、東証二部に陥落した名門企業・東芝がそうだが、我が国の政権与党である自民党にも、その兆しが垣間見える。

同党では、かねてから〈二〇一二問題〉が指摘されてきた。常軌を逸した秘書へのパワハラ行為で先日、同党に離党届を提出した豊田真由子衆院議員を含み、これまで一二年に初当選し、現在、二期目の代議士六人が、未公開株を巡る金銭トラブルや不倫問題など様々な不祥事を起こしている。情けない限りだ。

同党は〝蟻の穴埋め〟ならぬトカゲの尻尾切りに追われている。極めて深刻な事態である。国会議員の劣化に加え、政党の劣化も最近、目立っている。離党者が相次ぐかつての政権政党や本性を隠して不安煽動に終始、〝虚偽の実績〟をアピールしている政党…。残念な現象である。

人や社会のほころびを見透かすかのように、毒を持ち腹部にある針で何度でも刺す獰猛な蟻・ヒアリが、神戸港などに〝上陸〟しているのが見つかった。中国の別の古典にも〈堤の潰るるは蟻穴よりす〉(古詩源)とある。蟻の穴現象による社会の崩壊や人の劣化などは、あってはならない。まして和名〈火蟻〉に刺されての毒死はご免だ。用心したい。

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